ハイス鋼(標準試料)に微粒子ピーニング処理による表面テクスチャ(ディンプル形状)を形成した上でDLCコーティングを施し密着性を評価しました。
◇ボールオンディスク試験結果 試験後の供試材
微粒子ピーニング処理による表面テクスチャ制御によってDLC膜の剥離が抑制されていることがわかります。
◇ロックウェル試験
微粒子ピーニング処理による表面テクスチャ制御を施した試料は、剥離が小規模であり、基材との変形追随性が向上しているように見えます。
微粒子ピーニング処理によって表面テクスチャを制御することによって、荷重が付加された時の膜内の応力分布が不均一になり、局所的な微細亀裂の生成によって膜が破壊されると考えられます。
しかし、大規模な剥離は起きないので、巨視的には基材との変形追随性が向上し、密着性が改善すると考えています。
補足 DLCの摩擦係数に与える表面テクスチャの効果
微粒子ピーニング処理により表面テクスチャを制御した試料の方が低い摩擦係数を示します。