繰り返しのプレス成形によりPVD皮膜は完全に除去されており、基材の金型用鋼が露出しています。パンチの先端付近は脱落し、横方向に多数のき裂が発生しています。
パンチの損傷は、被加工材の凝着とこれに起因するせん断応力によって、PVDコーティングが基材ごと除去されることによって始まります。
微粒子ピーニング処理を施すことによって、金型に必要な寸法精度を損なうことなく、微小なディンプル形状をパンチ表面に付与することができます。
微粒子ピーニング処理とPVDコーティングを複合的に施したパンチは5万回のプレス成形後も損傷はほとんどなく、極めて高い耐久性を示しました。
金型の耐久性向上は、微粒子ピーニング処理によって形成されたマイクロディンプルがプレス成形中も潤滑油を十分に保持する役割を果たすことによって、被加工材の凝着を抑制したためと考えられます。