2024.01.26  WPC処理によるDLCの密着性と摺動特性の向上

WPC処理によるDLCの密着性と摺動特性の向上

ハイス鋼(標準試料)にWPC処理による表面テクスチャ(ディンプル形状)を形成した上でDLCコーティングを施し密着性を評価しました。

連続荷重増加試験による評価

◇ボールオンディスク試験結果 試験後の供試材

WPC処理による表面テクスチャ制御によってDLC膜の剥離が抑制されていることがわかります。

ボールオンディスク試験結果

◇ロックウェル試験

WPC処理による表面テクスチャ制御を施した試料は、剥離が小規模であり、基材との変形追随性が向上しているように見えます。

ロックウェル試験

WPC処理によって表面テクスチャを制御することによって、荷重が付加された時の膜内の応力分布が不均一になり、局所的な微細亀裂の生成によって膜が破壊されると考えられます。

しかし、大規模な剥離は起きないので、巨視的には基材との変形追随性が向上し、密着性が改善すると考えています。

密着性向上モデル

補足 DLCの摩擦係数に与える表面テクスチャの効果

表面テクスチャの効果

WPC処理により表面テクスチャを制御した試料の方が低い摩擦係数を示します。

ドライ状態での摩擦係数比較グラフ