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2026.05.08
コラム

プレス加工用パンチの摩耗を抑制する表面処理 コーティングの上手な使い方

プレス加工のパンチは、使っているうちに刃先部分が少しずつ摩耗・損傷し、製品の寸法精度や品質が落ちてくることがあります。

金型の寿命低下は、交換や再研磨の頻度を増やし、生産性やコストにも大きく影響します。そこで重要になるのが、金型表面を守るための表面処理、特にコーティングの活用です。

コーティングというと、とにかく「表面を硬くする方法」と考えられがちです。もちろん硬さは大切ですが、実際にはそれだけではありません。

プレス加工では、被加工材との摩擦だけでなく、凝着、摩耗粉の発生、焼付きなど、さまざまな現象が重なって起こります。

そのため、パンチの摩耗対策では、何が原因で傷んでいるのかを見ながらコーティングを選ぶことが大切です。

 

摩耗の原因によって、選ぶべきコーティングは変わる

 

たとえば、被加工材との純粋な摩耗によって表面が削られる場合には、硬い皮膜が有効です。

一方で、被加工材が金型表面にくっついてはがれるような凝着が問題なら、単に硬いだけでなく、すべりやすさ被加工材との相性も重要になります。

こうした場面では、TiN系、CrN系、DLC(Diamond Like Carbon)など、目的や被加工材に応じてコーティングを使い分ける考え方が必要です。

 

微粒子ショットピーニングとの組み合わせにも注目

 

さらに注目したいのが、微粒子ショットピーニングとの組み合わせです。

微粒子ショットピーニングは、表面近くに圧縮残留応力を与えて金型を強靭化するだけでなく、表面にごく微細な凹凸(ディンプル)を与える方法としても活用されます。

このマイクロディンプルによって、被加工材とのすべり抵抗が減少し、潤滑油の保持力も改善されます。

その結果、凝着やかじりの抑制が期待できます。微粒子ショットピーニングとコーティングを組み合わせることで、パンチ寿命の向上が期待できる場合があります。

 

コーティングは単独ではなく、組み合わせで考える

 

つまり、コーティングは表面を保護する役割、微粒子ショットピーニングは表面凹凸形状や応力状態を整える役割として、別々の強みを持っています。

これらをうまく組み合わせることで、単独処理では得られない効果が期待できます。

ただし、コーティングは「何を使うか」だけでなく、「どう使うか」も重要です。母材の材質や熱処理の状態、表面仕上げとの相性が合っていなければ、せっかくの皮膜性能を十分に活かせません。

だからこそ、表面処理は単独で考えるのではなく、基材の選定、熱処理、表面仕上げ、さらにショットピーニングまで含めた最適な組み合わせで考えることが重要です。

 

👉 大切なのは、コーティングを万能な答えとして選ぶのではなく、どんな摩耗や損傷を抑えたいのかを整理し、必要に応じてほかの処理と組み合わせることです。

 

迷ったら、現象から整理する

 

「どのコーティングがよいのか」「微粒子ショットピーニングとの組み合わせで何が変わるのか」と迷ったときは、ぜひ表面設計コンソーシアムへご相談ください。

ソリューションラボにて、お客様と一緒に現象を整理しながら、最適な表面処理の方向性を考えていきます。

 

 

この記事を書いた人

神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)
髙木眞一
技術士(金属部門)、博士(工学)を取得。 神奈川県内のものづくり中小企業がタッグを組んで表面にかかわる様々なニーズにワンストップ対応することを目指した表面設計コンソーシアムの活動を地域の産業支援機関として応援します。

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