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DLC膜は潤滑剤との組み合わせでさらに低摩擦に? ― トライボケミカル反応が生み出す超低摩擦 ―
DLC(Diamond-Like Carbon)膜は、低摩擦・耐摩耗性に優れ、さまざまな摺動部品に利用されています。
しかし、DLCの摩擦特性は膜そのものだけで決まるわけではありません。 実際の機械では潤滑油と組み合わせて使用されることが多く、DLCの種類と潤滑剤の組み合わせによって、摩擦係数が大きく変わることがあります。
✓ 同じDLCでも摩擦係数は大きく違う
DLCにはさまざまな種類があります。例えば、水素を含むa-C:Hと、水素をほとんど含まないta-Cでは、膜の構造や性質が異なります。
オレイン酸を潤滑剤として両者の摩擦特性を比較すると、ta-Cでは試験開始後すぐに摩擦係数が低下し、その後0.005~0.006程度という非常に低い値を維持しました。一方、a-C:Hでは0.04~0.05程度でした。
同じDLC、同じ潤滑剤でも、膜の種類によって摩擦特性に大きな違いが現れるのです。
✓ 摩擦面では「化学反応」が起きている
その理由を考えるうえで重要なのが、トライボケミカル反応です。
摩擦面では、単に二つの表面が滑っているだけではありません。接触や摩擦によって表面が活性化され、DLCと潤滑剤との間で化学反応が起こり、新たな反応膜が形成されることがあります。
特にta-Cは、a-C:Hに比べて表面の炭素が潤滑剤と反応しやすく、極性基を持つ潤滑剤との間に反応膜を形成しやすいことが示されています。オレイン酸やオレイルアルコールのように極性基を持つ潤滑剤では、ta-Cの方が低い摩擦係数を示しました。 ダイヤモンドライクカーボン膜の評価技術について
つまり、ta-Cの低摩擦は単に「硬いDLCだから」というだけではなく、潤滑剤と反応して摺動面に低摩擦な状態をつくり出すことが重要なのです
✓ 潤滑剤は単なる「油膜」ではない
潤滑剤というと、二つの表面の間に入り、直接接触を防ぐ「油膜」としての働きをイメージしがちです。
しかしDLCとの組み合わせでは、潤滑剤はそれだけではありません。摩擦によってDLC表面と反応し、摺動面そのものの性質を変える役割を持つ場合があります。
したがって、DLCの低摩擦化を考えるときには、
DLC膜 × 相手材 × 潤滑剤 × 荷重や速度などの使用条件
を一つのシステムとして考えることが重要です。
👉 「低摩擦なDLC」を選ぶだけではなく、実際の使用環境で低摩擦となる組み合わせを見つける。
表面設計コンソーシアムでは、DLC膜の選定だけでなく、相手材や潤滑剤、使用条件まで含めた摩擦・摩耗評価をご提案します。
摩擦面で何が起き、なぜ低摩擦になるのかをキャラクタライズする。
そこからDLCと潤滑剤の最適な組み合わせを考えることも、私たちが目指す表面設計です。
参考文献:吉田健太郎, 加納眞,益子正文,川口雅弘,J.M.マルタン「オレイン酸潤滑下すべり摩擦における DLC 膜の摩擦低減特性とトライボ化学反応の関係」トライボロジスト, 第 58 巻 第 10 号 (2013) 773~782
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