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摩擦とすべりを考える
摩擦とすべりを考える
材料を上手く滑らすためには、抵抗を減らす必要がある。固体が固体の上を滑る場合、抵抗する力は摩擦力と呼ばれ、摩擦力を負荷荷重(滑らす物の重さと考えればよい)で除したものを摩擦係数と呼ぶ。摩擦、摩擦力に関しては次式に示すアモントン・クーロン則という経験則で整理されている。その考え方の肝は、真実接触面という考え方だ。固体同士の接触では実際に接触しているのはごく一部で、荷重の増加で接触部が変形し接触面積が増大するという理論である。固体摩擦の現象は、殆どが真実接触面理論で説明できるので、適応条件を理解すれば正しいだろう。
固体が液体上を滑る場合、摩擦力は次式に示す液体のニュートンの粘性抵抗で説明できる。 摩擦というわけの分からない分野に、電磁気学のクーロンとあのニュートンが寄与していることにも驚く。ついでに言っておくと、トライボロジーの分野で大人気のストライベック曲線というものがあり、流体潤滑から境界潤滑までの摩擦係数の関係が示されている。僕は、流体潤滑状態においては、粘性抵抗は荷重に依存しないので摩擦係数として整理するのはおかしいのではないかと常々思っている。
摩擦の理論を粉体に適応しようと思うと結構ハードルが高い、固体であるにも拘らず、軽量であるためアモントン・クーロン則の成立が疑わしい。粉同士の運動と粉と基材との運動の関係を考える必要がある。また、粉体特有の応力鎖という考え方もある。粉同士の相互作用の少ない(凝集性が低く流動性が高い)粉体では、安息角等の測定により、粉体間の摩擦などの知見も得やすく応力鎖の考えが成立し易いと考えられる。我々の考え方は、粉と基材の相互作用(摩擦と言い換えても良いと思う)を減らすことにより、応力鎖の再構築を促し流動性を高めるというのが基本だが、それほど単純ではないようである。食品粉体は軽く、粉体間の相互作用が大きい、軟質で変形しやすいなどの特徴を持っている。
従って、出来ることは現象をよく観察し、何とかモデル化することである。高速度カメラなどを使用して観察してみると、問題解決には程遠いが、そこそこ見えてくるものもある。粉体の量の少ない段階では、粉体(凝集体も含め)形状に伴い、板状の物は滑りながら、厚みのあるものは回転しながら落下する。という、力学的に納得する挙動を示す。投入量の増加に伴い、付着物が増加し塊が生成する(WPC処理によりマイクロディンプルを形成すると落下速度も大きく、付着は少ない)。比較的、流動性の高い粉体は崩壊しながら落下する、これは、応力鎖の再構築というモデルに対応していると思っても良い。流動性の低い粉体は、あたかも表層雪崩のように刺激により層状に落下する。と言った、よく考えたら当然の結果が観察される。とは言え、重要な知見なので、表層雪崩の発生メカニズムや摩耗し易い固体の摺動状態などを想定したモデルなどを構築する必要性を感じている。
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