2024.07.30  コラム SKD11の硬さ指示について

コラム SKD11の硬さ標記について

 金型材料として使用されるSKD11は熱処理による推奨硬さが58HRC~62HRCだが、58HRC~60HRCと60HRC~62HRCとではプロセスが異なり、使用目的や機能面で設定に注意が必要である。
 

①58HRC~60HRC:【高温焼き戻し指定】
 

②60HRC~62HRC:【低温焼き戻し指定】
 

 現在ではワイヤーカットやPVDといった熱処理後に400℃以上の熱が加わる物については①の高温焼き戻しが採用されているのが常だが、目的や機能面から意図的に②の低温焼き戻しを行う場合がある。

 低温焼き戻しでは60HRC以上の硬さが得られるだけでなく、経年変化しにくいという性質があり、ゲージ、治具といった長期間にわたって精度の維持が必要な物に採用されている。

 こうしたSKD11を使用した部品設計では、設計者はその使用目的と機能を理解した上で高温焼き戻し、低温焼き戻しの指示を行えるようにしたい。
 

N.E